「神様もどき。」

初めに

なぜ、自分が今回このブログを始めたのか。

それは長い中高生活の中で何か一つでも形に残るものを残したいと思ったからである。誰かに自分の書いた物語を読んでほしい。そして楽しんでほしいというただそれだけ。誰も読まなくてもいいから何かを少しずつ育ててみたいというそんな気持ちだ

 

なぜブログなのか、と思う人もいるだろう。

小説の共有サイトなら他にもあるだろうと。だが自分はこのブログのスタイルがいい。ほんの少しずつを繰り返してその結晶として形になる。継続が苦手な自分にはぴったりなのでは無いか、と思った。

それでは、物思いの多い自分のふとした疑問を形にしていくとしよう。

 

神様もどき。

プロローグ

神様がいるとしたらきっとそいつは、なんだってできるのだろう。

願い事を唱えて、指を鳴らしたらそれが現実になったりするのだろう。

もしそいつに感情があるなら、そいつの価値観は俺らとは何から何まで違う。

 

第1章

「・・・なのでXは17でYは23になります。今日はここまで。号令〜」

「気をつけー、礼、ありしたー」

やっと憂鬱な代数の授業が終わった。と言っても、授業の大方は仮眠を取っていたのでどちらかというと気分がいい。それにしても午後の授業での睡魔と言ったら最強だ。

どんなに頑張っても授業のメモは十中八九ヒエログリフになる。

「はぁ〜、俺もキラキラな恋がしたいなぁー」

そう言いながら俺に寄ってくるのは友達の隆志だ。

「んだよめんどくせぇなーもう」

事実、今自分には彼女がいる。付き合い始めて一年半くらいだ。

名前は百合。一緒にいるとそれだけで幸せな気分になれる。

気になっていたが、言い出せずにいた時にあっちから告ってきた。

それで今はめでたくカップルってわけ。

この前、デートにも行った。観覧車が永遠に続けばいいのにって思ったなぁ。

おっと、俺の幸せエピソードはここまでにしておこう。

「佑樹、今日この後空いてたらスタバ行って勉強しよーぜー」

「おん。」

スタバで勉強かぁ。財布に負担はあるけど成績の維持も大切だ。

そして何より今日は百合たち女子グループもスタバ行くらしいし。

帰りのホームルームを済ませて、俺らはスタバへの道を歩き出していた。

ふと、こんな話を隆志が持ち出してきた。

「なぁ、もし人生やり直せるかって言われたらやり直すか?」

その問いはなかなかに難しい。というのも、俺は2年前に高校受験で失敗を経験してる。あの時御三家に入っていたら俺の人生は大きく違うだろう。そしてこの人生では決して出会うことのない友もできるだろう。だが、今の友は一生他人だ。それはどうなんだろうか。まぁ、考えたって仕方がないし結局やり直せるわけでもない。どっちの人生が幸せかなんて知らないし。

「やり直さないかな。やり直したらお前とも出会えてないし。」

適当にそんなことを言ってごまかした。

いつの間にかスタバに着いて勉強していた。

百合たちはあの時一回のカウンターで勉強していて俺たちは二階のテーブル席だった。

本当は近くに座りたかったのだがいつもは空いている席が今日は始めて埋まっていたのだから仕方がない。

1、2時間勉強してそろそろ帰ろうと言って荷物の整理を始めた時に事件は起こった。

突然の悲鳴とグラスが落ちてわれる音。そして、百合の言葉。

「大好きだよ!ゆうくん!」

涙まじりの声だった。そしてそのすぐ後に銃声が2発。

そこからはスローモーションのように全てが見えたのに時間はどんどんと過ぎていった。階段をかけ降りると二つの体が地面に倒れている。一つはがたいのいい見たことのない男。そしてもう一つは、百合だった。すぐに駆け寄ったが胸からはどくどくと血が流れ、百合のお気に入りの白いカーディガンは朱色に染まっていった。

周りの人の表情を見ればそこで何があったかはわかる。男が入ってきて百合を殺し、自分も命を絶ったのだ。なぜ男が犯人とわかったのかって?みんなが少し安心した顔をしてたからだよ。もう安全。自分じゃなくてよかった。そんな顔だった。俺はその場でうろ覚えの心臓マッサージを繰り返した。圧迫しちゃいけないのはわかっているが、それしかできることがなかった。何かしなくてはという焦りがあった。それから少しして救急車と警察が到着した。俺は事情を聞かれたが、監視カメラに一部始終が収められていたこともあり、家に帰ってゆっくり休むように言われた。

「ゆっくり休め」?自分が生まれて初めて何よりも大切にしたいと思った世界で一人の彼女が自分の真下で殺されたのに?

最初の一ヶ月はとにかく泣いた。一緒に観覧車で撮った写真を見ては、泣き、またそれを見ては泣いた。そしてそのあとは怒りや恨みに変わった。もちろん男に対してもあるが、何も悪くない女子高生が殺されて罪を犯した犯罪者たちがのうのうと生きているこの理不尽な社会に怒った。

男の懐から、遺書が見つかったという話を警察の人から聞いた。

男は両親に他界されて、身寄りもなくたった一人で生きてきたらしい。そして、こう書いてあったという。

俺が殺した人と俺の間には大きな因果関係が生まれる。どんなやつよりも俺がそいつに一番大きい影響を与えるんだ。そいつと俺の間には密接な関係ができる。

意味がわからない。は?は?は?は?は?

 

なんでだよ!なんでそんなに頭がおかしいんだよ!死ね死ね死ね死ね死ね。

死人に対して死ねと言い続けて一ヶ月が経った時、俺は久しぶりに学校へ行った。

季節は変わり、もう秋だった。

学校の授業はあいも変わらず平凡で退屈でそのままだった。

百合の死で俺は何もかもが変わったが学校は、社会は、世界はそのままだった。

そして俺は退屈な授業でこんなことを考えた。世界が俺の言いなりになったらいいのに。なるわけないとわかっていても、俺の精神状態は以上だった。だからこんなことを呟いた。「雷がこのビルの避雷針に直撃する。」

外は快晴で雲一つなかった。だが、1秒後ものすごい轟音が俺の耳を劈いた。

雷が落ちたのだ。俺の人生はまた、大きく変わりだすようだ。